竜脳(りゅうのう)について

　竜脳(りゅうのう)は熱帯アジアに分布するフタバガキ科の常緑高木、リュウノウジュの樹脂が自然に結晶化したものです。形が氷のかけらのように、氷片(ヒョウヘン)という名前もあります。リュウノウジュの幹や枝の切り口や揉んだ葉には樟脳に似た強い芳香があります。人工的には幹や枝を細かく刻み、水蒸気蒸留して昇華させ、冷却すると結晶が得られます。
　古くから中国、ヨーロッパなどで竜脳(りゅうのう)は高級な宗教用薫香料として知られていた。まだ、強い清涼感をもたらし、気付け、香料、防腐剤として用いられました。漢方では歯痛、明目の目的で使用され、熱性痙攣、咽喉痛、歯痛、眼疾患に用いられます。
　今では天然の竜脳樹 から採取した天然竜脳は少なくなり、竜脳の代用品としてあらわれたのが、中国の樟木から製造される樟脳です。鎮静、血圧低下、疲労回復、血行、鎮静作用、抗うつ、殺菌・消毒作用、防虫効果等があるとされています。