茴香(ういきょう)について

　茴香(ういきょう)はセリ科の植物の種子で、アニスに似た甘い香りがあります。芳香成分（アネトール）に矯臭効果があり、魚肉の臭い消しによいです。カレー粉の原料として使用。消化作用があり、また口臭を消す効果もあります。
「茴香」は「回香」とも書きます。「回」は回教徒（イスラム教徒）を指します。ヨーロッパからイスラム教の地域を経て中国に伝来したことからです。その後、日本へ渡来しました。茴香(ういきょう)はフェンネルとも呼ばれ地中海沿岸が原産です。黒海とカスピ海にはさまれたコーカサス地方から地中海沿岸西部にかけて自生しています。現在用いられている原料は国外からの輸入が主ですが、長野県などでもわずかに栽培されています。
　漢方では、茴香(ういきょう)が芳香性の健胃剤として食欲を促進させるとともに、胃腸疾患にも効き目があります。駆風剤としては、ガスがたまって腹がはり苦痛であるときにガスを除く作用があります。胃痛、冷えによる腹痛、腎臓の弱いとき、腰痛にも用い、また去淡剤としても用います。